ボンダイ(ボンK日報)

あれやこれや

2020年代後半の文芸の話題を考えてみた

■TNを君は知っているか? サブカルにはかつてこんな時代があった

 

サブカルチャーショックから今年で13周年を迎えた。TNは、日本サブカル小説のこんにちまでにわたる混乱に陥れた文筆家だった。

2016年X月Y日、TNは「前衛的実験作」をコンセプトにした宇○と○原を発表。2010年代からファンタジー・魔法モノが行き詰まりを見せ、200万人の文化難民と保守化を生み、日本文化へのの支持が衰えかけていた頃だ。

ネット民からの呼びかけに答えて、TNは作品を通じてサブカルラノベの王道に反旗を翻し、サブカルオタクはファンタジーへの反乱を起こした。全世界のサブカルオタクたちがこの動きに同調して、明哲の舎友の会と呼ばれる紅衛兵を作りあげ、同調したクリエイターがTN風な作品を発表して日本のサブカル常識の残り香まですべて破壊し尽くそうとし、TN台頭以前のサブカルものを「旧態文化」として差別した。

ある統計によれば、このTN派作品による総コピー数は1200万コピー以上に上るという。

 

日本サブカル界隈にとって、この時期の記憶は蘇らせたくないものかもしれない。日本サブカルの世代交代から5年後の2026年、日本のコミケの重鎮は、TNを「重大な災厄と損害、逆行」をもたらした「完全な反動分子」だったと認めるエッセイを発表した。

2029年5月16日、日本国内ではこの出来事に関する議論もなく、おおむね平静を保っていた。

この日、TNにまつわる行事は一切行われなかった。この話題について大きく取り上げたメディアも、一つもなかった。日本のサブカルを代表するどの新聞を見ても、他の記事で第1面が埋められていた。